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柴犬じゃない! ペリーが思わず持ち帰った日本犬

ペリーやビクトリア女王にも愛された日本原産の犬

現在、海外でも大人気の日本犬。メジャーな日本犬といえば柴犬や秋田犬だが、明治政府がアメリカに送った日本原産の犬は実は別の犬種だった。犬公方として知られる徳川綱吉も溺愛したその犬とは?(雑誌『一個人』2017年12月号「幕末・維新を巡る旅」より)。

◆開国、欧米へと伝えられた日本文化

 幕末から明治にかけて、日本という国は劇的に変化した。武家社会が終わりを迎え、一気に西洋化が進んでいく。明治維新後は文明開化といわれるように、近代的な生活スタイルが浸透。人々の暮らしは大きく変わっていった。
 このような時代の幕を開けたのは、1853年の黒船来航ではないだろうか。アメリカからマシュー・ペリー率いる艦船がやってきて、開国を要求。以降、日本は激動の時代に突入することになる。

 黒船来航は日本に大きな影響を与えたが、欧米諸国へ日本文化が伝わるきっかけにもなっていることを忘れてはならない。ペリーが日本から持ち帰った石は、アメリカの初代大統領の功績をたたえたワシントン記念塔に使われている。
 この石は下田のもので、花崗岩石材とされる。花崗岩は御影石ともいわれ、耐久性に優れていることから、後世にまで伝えるための記念塔にはもってこいの素材だったといえよう。
 ほかにも黒船は、横浜のツボスミレなど300種以上もの植物を持ち帰った。これらの標本はニューヨーク植物園に保管されている。

 日本からもアメリカへ贈り物をしており、そのなかには日本原産の犬が含まれていた。その犬種は「狆(ちん)」である。現在はあまりなじみがないかもしれないが、その歴史は古く、奈良時代にはすでに日本に存在していたようだ。

 
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原口 泉

はらぐち いずみ

鹿児島大学名誉教授

志學館大学教授



鹿児島県立図書館館長。東京大学文学部国史学科、同大学院博士課程を修了。専門は日本の近世・近代史。NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」「篤姫」「西郷どん」の時代考証を担当。『西郷どんとよばれた男』(NHK出版)『西郷隆盛53の謎 知っているようで知らない「せごどん」の真実』(海竜社)など著書多数。


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